瓦のこと
神宿る瓦屋根の国、日本。
史上、初めて瓦が登場するのはおよそ2800年前の中国とされます。
日本にはおよそ1420年前の西暦588年、百済から仏教と共に伝来。飛鳥寺で初めて使用されたとされます。
仕様は平瓦を並べ、そのジョイント上に丸瓦を並べた現在でも使われている本瓦葺きとほぼ同じです。
飛鳥時代では、瓦葺きの許された建物は寺院のみです。
現存日本最古の瓦は飛鳥時代のもので、元興寺の極楽坊本堂と禅室に葺かれている瓦とされています。
また、延宝4年(1674年)340年前に瓦職人西村半兵衛が丸瓦を必要としない桟瓦を開発したと言われています。
これにより、瓦を用いる量が減り、瓦を用いるための建物強度のハードルが低くなりました。
さらに、太平の世の課題として火事対策が幕府や藩の急務となり、
耐火建築用品として瓦の使用が奨励され、一般にも普及することになったのです。
高い環境性能
瓦は、燃料1ℓで約4枚製造できると言われます。
平均的住宅一軒に約1000枚~1500枚を使用しますので、250~375ℓの燃料を燃やし、CО2も排出しますが、
しかし他の屋根材料に比べても優位性が実証されていますように、
その耐久性が50年以上、また産業廃棄物として処理されても、いずれ土に帰る環境にやさしいものであります。
(現在釉薬も無鉛化が進んでおります)
ご予算面からしても長い目で見れば大変お値打ちな商品です。
さりげなく縁起の良い瓦屋根。
実は、瓦には家族を守ってくれる神様が宿っています。
瓦は、風雨から大事な家を長い間守ってくれます。
そこに使われている鬼瓦や役物といわれる造形の瓦は、「鬼師」と呼ばれる専門職人の熟練の技で作られています。
実は厄を払い、悪いものを寄せ付けない意味や縁起の良い意味を持つ神様が宿っています。
ご家族それぞれに願いや事情があるとおもいますが、例えばその願いに合わせて瓦を選んでみてはいかがでしょうか。
旧呉市の総氏神
亀山神社×鬼瓦やぶ瓦
上田瓦商店では、「神宿る瓦の会」を立ち上げ、「日本鬼師の会」とのコラボでやぶ瓦の制作を手がけました。
「やぶ」とは
鬼の面をかぶって、注連縄を背負い、竹の棒を持つ「やぶ」。
やぶは、呉のお祭りには絶対に欠かせない大変重要な存在です。
全国各地のお祭りで鬼の面をかぶった所役が存在しますが、やぶという呼称は呉地方独特のものです。
やぶは神様の遣いであり、神様と敵対する鬼とは違います。
「やぶ瓦」について
伝統的日本家屋では、魔除け・厄除けの意味で、棟瓦の端に鬼の顔を彫り込んだ鬼瓦が取り付けてあるのをよくみかけます。また、実際は鬼だけでなく、七福神や小槌などバラエティに富んだ素材が使われています。
ならば、呉という土地柄、(鬼ではなく)やぶが家々の屋根から睨みを利かしている光景があってもいいのではないか。そう私たちは考え「神宿る瓦の会」を立ち上げ、「日本鬼師の会」とのコラボで「やぶ瓦」を制作しました。
沖縄ではシーサーが鎮座する屋根が景色に溶け込んでいるように、いつか呉でも屋根上のやぶが町の風景を織り成す日が来るかもと想像したらわくわくします。